2010年10月15日

メダルと恋と秘密警察

メダルと恋と秘密警察 : ビットが明かす銀盤人生
カタリーナ・ビット著 畔上司訳
文藝春秋 1994年8月
Meine Jahre zwischen Pflicht und Kuer

カタリーナ・ビット。オリンピックを2連覇した偉大な選手。東独時代の秘密警察(シュタージ)にセックスが何時から始まって何時何分に終了みたいなことまで監視され、その記録は、全3千ページにのぼるという。20代後半になって、それを読んだビットは、自伝を書く決意をする。

「善き人のためのソナタ」というドイツ映画を見て、シュタージに脅されたりしていた話かと思ったが、そういう記述はないように思う。(ちゃんと読んでなくてすみません)監視されていた記録と実際は違うということをビットは書きたかったのかもしれない。
訳者のあとがきを読むと、
”華やかなスケート界の話や有名人との交友、恋愛もふんだんに語られている。こんなに書いちゃっていいの?とこちらが心配になるほど、彼女は書きまくっている。何だか、取り上げられた人が可哀想になってしまうほど赤裸々だ”
とあるのですが、あまり興味がなかったのでとばし読みしてしまった。

おもしろかったところは、
”サンドラ・ベジックとブライアン・ボイターノは、わたしみたいな東の人間に向かって「レディの脚に毛はないはず」と言う。わたしはレディじゃないし、それに脚の毛を剃るのは退廃的だと思う。” 
マネージャーからも「剃れ剃れ」と言われ、アメリカのホテルのバスルームで、ビットは安全かみそりで軽く剃ってみた。そしてすぐさま電話をした。「何したと思う、いま脚を剃ったのよ」
”すべすべの両脚、カタリーナ・ビットの西欧化の一歩”

リレハンメルオリンピックに復帰するにあたっての心境も綴られている。
”ジャンプ志向の傾向に反対であり、自分の二十八年間の経験から言って、フリーは、十六歳ではまだ表出できない物語でならないと確信している”
かつて金メダルを得た地、サラエボの平和を願った「花はどこへ行った」
結果は7位だったが、世界中の多くの人に感動を与えたそうです。
私はちょうどリレハンメルOPで見ているが、ビットが素晴らしい選手だと賞賛されていたのは覚えている。今、「花はどこへ行った」を見ると、反戦メッセージを歌った有名なメロディーは一部分で、確かに印象的であるが、全体的に見ると、「そんなにいいかな」って感じだ。おそらく、あのメロディと、平和を願うビット自身の劇的な半生があって人々に強い感動を与えたのでしょう。

posted by ホープ at 16:00| BOOK | 更新情報をチェックする